黒蜜ときな粉をかけて食べる「くず餅」。 漢字で書くと、「葛餅」や「久寿餅」になりますが、この2つ、まったく違う食べ物だということを知っていましたか? 関西の人が良く食べるのは、「葛餅」。透明感があってつるんとしてます。 関東の人が良く食べるのは、「久寿餅」。白濁しているひし形のお餅のような印象です。実はこのどちらかが、和菓子で唯一の発酵食品だといわれています。 今回は、「葛餅」と「久寿餅」の材料、作り方の違いをまとめてみました。 久寿餅とは? まずは関東でよく食べられる「久寿餅」をみてみましょう。 神奈川県川崎市川崎大師や東京都大田区池上本門寺、そして東京都江東区亀戸天神社などの名物として売られているので、関東の人にはなじみがあるかもしれません。 白濁した板状の「久寿餅」と黒蜜やきな粉がセットで売っています。 久寿餅の材料と作り方 実は、「久寿餅」は、小麦を乳酸菌で発酵させた、小麦でんぷんでできています。 小麦の配合や発酵時間はお店によって全く異なりますが、「久寿餅」やさんとして有名な1805年創業の船橋屋(東京・江東)さんでは、なんと450日間も発酵させているのだとか。 なんと、1年半以上です! その作り方をざっくり説明するとこんな感じ。 ▼「久寿餅」の作り方 小麦を水で練って洗う ↓ 乳酸菌で発酵させる ↓ 水洗いして酸味や発酵臭をとる ↓ 蒸す ↓ 黒蜜やきなこをかけて食べる 久寿餅はなぜできたのか? 久寿餅のルーツをたどると、江戸時代に東京で大洪水が頻繁していたことに少し関係があるようです。 洪水によって水につかってしまった小麦をそのまま捨ててしまうのはもったいない…そこで、その小麦を発酵させて、ちゃんと水で洗って、蒸す工程を作ることで火を通して、どうにか食べようとした結果、なんと久寿餅ができちゃった!という話もあります。 昔の人が、どうにか食料を無駄にしないで食べられるように工夫を凝らした結果なんですね。 乳酸菌で発酵させることでたくさんのビタミンやミネラルも生まれますし、カロリーが低いわりに栄養価が高い美容食としても、注目されています。 葛餅とは? 一方、おなじ「くずもち」でも、漢字で「葛餅」と書くほうは、主に関西で食べられています。 漢字のとおり、葛粉から作られる和菓子ですが、沖縄などもっと南のほうで食べられる葛餅は、葛粉の代わりに芋くずと呼ばれるサツマイモデンプンからつくられることもあるんですって。 そもそも「葛」とは、マメ科クズ属のつる性の多年草で、日本ではその根っこのでんぷんをとって葛粉を作っています。 根っこの部分を乾燥させた「葛根」は、日本薬局方に収録されている生薬としても有名ですよね。 奈良県吉野産の葛は特に良質だとされていて、この地域で加工した粉は「吉野葛」として知られています。 葛餅の材料と作り方 葛餅の作り方は、久寿餅とは全く違います。発酵させているか、させていないかがその大きな違いだといえるかもしれません。 ▼「葛餅」の作り方 クズの根っこをたたいて繊維質にする ↓ 水で洗って乾燥させる ↓ 水と砂糖を加えて火にかけながら練る ↓ 火からおろし粗熱をとる ↓ 黒蜜やきなこをかけて食べる 葛餅自体がほんのり甘いのは、お砂糖が入っているからだったんですね。 久寿餅と葛餅の違いまとめ 久寿餅と葛餅は、名前は似ているけど、まったく違う食べ物であることがわかりました。 久寿餅は、小麦でんぷんを練って、乳酸菌で発酵させたもの 葛餅は、葛のでんぷんを練ったもの 作り方も材料も全く違いますね。 久寿餅は、もともと江戸時代の大洪水がきっかけで、むりやり水につかってしまった小麦を食べようとした経緯があるといわれているように、食べるまでにかなりの工夫が感じられ、その分出来上がるまでに時間がかかっています。 発酵だけで450日というのは本当にすごいです。 ぜひ、久寿餅と葛餅を改めて試食してみてください♪
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